いつの時代にも、人々の生活には住居や建物が存在します。それらを作り上げているのが建設業界の仕事です。
2005年~2006年にかけて規模が微増した建築業界ですが、その時点ですでに成熟していたといってもいいでしょう。2007年はほぼ横ばい、2008年になるとわずかに減少、2009~2010年にかけてはガクッと落ち込みました。これには国内の民間需要の減少、民主党による公共事案の廃止などが背景にあったと思われます。しかし2011年に起きた東日本大震災によって復興需要が増加。そこから回復傾向に転じ、今でも少しずつ右肩上がりになっています。
とはいえ、業界全体としての問題点も存在します。1つ目が人材不足。震災の復興事業や東京オリンピック開催により、業界の需要は高まっています。ですが技術者や技能者の不足が深刻化しており、震災の復興事業の進捗は予定より遅れているのが現状です。そして建設業界に就職する人も減少しており、2020年までに合計で15万人もの労働力不足に陥るといわれています。ブラックなイメージのつきまとう建設業界ですが、こういった状況を受けて徐々に改善されてきました。建設業界に特化した求人サイトを見てもそれが分かっていただけると思います。
2つ目が合併によって享受できるメリットの少なさ。今のバブル的な需要が落ち着いたら、企業合併を行って経営力強化をしていくという予想が立てられています。他の業界であれば合併によって各企業のさらなる成長や安定した経営が見込めるのですが、建設業界の場合はそうもいきません。合併しても機能面での重複が多く、メリットがあまりないからです。そのため、合併以外のやり方で生き残っていく方法を見つける必要があるでしょう。
3つ目は利益率の低さ。需要が上がっているとはいえ供給過剰の状態は続いており、企業間でし烈な価格競争が繰り広げられています。格安で案件を引き受けていると、そのしわ寄せは現場で働く労働者にきます。労働環境や条件が悪化して建設業界から離れてしまい、さらなる人材不足へ追い込まれる可能性もないとは言い切れません。
人材不足の問題は今現場で活躍している世代が定年を迎えるころにはより深刻化するかもしれませんし、今後の経営方針次第では存続が厳しくなる企業も出てくるでしょう。今抱えている課題に対する対策や答えを今のうちに見つけておけるかどうかが、建設業界の今後を左右するのではないでしょうか。