近年「ワークライフバランス」という言葉をよく耳にするようになりました。仕事だけに己の時間を費やすのではなく、しっかり仕事をしつつ家族と過ごす時間も確保する、そんな働き方を望む人たちが増えてきています。ひと昔前のひたすら仕事に打ち込むような企業は時代遅れといえるでしょう。それではどれだけ優秀な人材を獲得できたとしても、定着にはつながりません。人材の確保し、定着させるためには、企業と従業員それぞれが納得し気持ちよく働ける環境を作る必要があります。
そのために大切なのが福利厚生です。今ではほとんどの企業が、何かしらの福利厚生を設けて、従業員がより働きやすい環境を作ろうとしています。中には、他社には見られない独自の福利厚生を設けている企業もあるようです。
福利厚生を充実させることは、従業員のやる気アップに繋がります。企業への帰属意識も強くなります。ハイパフォーマーの育成や会社全体の競争力アップのためにも、福利厚生の最適化を行うべきでしょう。最近のトレンドになっているのが育児と仕事の両立支援やヘルスケアサポートといった「目には見えない福利厚生」。安心して長く働いてもらうには、こういった施策を充実させていった方がいいでしょう。
ただ、介護支援については未だ取り組みが遅れているようです。晩婚化が進むにつれて子育てと介護の時期が重なり、2倍、3倍の負担を強いられている人も存在します。その状況をきちんと理解した上で適切な福利厚生を用意しないと、貴重な従業員を失うことにもなりかねません。そしてメンタルヘルスケアについては大企業を中心にサポートプログラムの導入が増えてはいるものの、過労自殺などの事例は未だにあります。従業員50人以上の事業所ではストレスチェックなども行われていますが、まだ十分に機能しているとはいえないでしょう。今いる人材を守るためにも、メンタルヘルスの支援制度も見直す必要があるかもしれません。
こういったサービス的な要素の強い福利厚生が増える一方、社宅などの建物に対する投資は減りつつあります。ですが、ハード面の福利厚生も従業員にとっては大事なもの。地方の学生を採用するべく、社宅代わりにワンルームマンションなどを借り上げるのが主流になっています。業務効率化と社宅運営のコスト減のため、社宅代行サービスを使って賃貸契約や家賃の回収を行う企業も増えています。社宅代行サービスの代表格ともいえるのがNTTビジネスアソシエのteNta Ace(テンタエース)。社宅管理のフルアウトソーシングが出来ることから、導入しているところも多いようです。予算が限られているなかで人手の確保・定着の問題を解決するにはこういった福利厚生の見直しから始めるべきなのでしょう。
福利厚生を導入する際に注意しなければならないのは、真に従業員にとって、快適に働けるような制度であるかどうか、しっかりと考えることです。中には導入が望まれていない福利厚生も多数あるので、何らかの事情がない限り、そのような内容の福利厚生は、極力避けたほうがベターです。
最終更新日:2021年3月31日